GEWELとわたし(篠田寛子)

NPO法人GEWELは2003年の設立以降、ダイバーシティ&インクルージョンを中心に、多くのひとに影響を与えてきました。GEWELと関わったことをきっかけに、新しい何かを起こしてきた「コトおこし」の例を紹介していきます。

File14:篠田寛子(シノダヒロコ)

有限会社クレオ 代表取締役
ビジネスコーチ

Q: あなたを掛け算で表現すると?
地方 x マイノリティ x 可能性

愛知県生まれ、岐阜県在住。26歳の時に勤めていた人事コンサルティング会社が閉じることとなり失業。起業しました。インターネットの立ち上がりの初期に関わり、6人でやっていたIT系業務改善の会社は零細企業にも関わらず、大きな仕事に取り組むことができ、刺激の多い30代を過ごしました。
在宅介護期間を経て、45歳で仕事を見直しました。
現在は、企業へは女性活躍推進やD&I研修やコミュニケーション研修、人へはコーチングでのキャリアや目標達成支援を行っています。そして特に地方に住む女性達の再就職支援やテレワークなどの働き方や意識改革支援、障がい者就労支援は私の活動の核となっています。
全ての活動の信条は「一人ひとりの可能性はもっとある。」です。その根底には、地方だからこそ、マイノリティだからこそ可能性を発揮する機会が多いという想いがあります。

Q: GEWEL との出会い
オープンフォーラムの中継で地方にいながらも同時刻に参加できる

Global Summit of Women (GSW) 2015年サンパウロ大会の報告会で、GEWELの理事にお会いしたことがきっかけです。その頃私はコーチ仲間の友人と共に、女性のキャリアのサポートをしたいと思い立って行動を始めたところでした。活躍している女性とはどういう人達なのか、どういう環境が必要なのかをまずは知るために、サイトを立ち上げ、活躍している女性達の取材活動を始めました。報告会でお話しされた方々はまさにそういう人達だなとまぶしく思ったのを覚えています。
その後、2016年・2017年GEWELのオープンフォーラムを名古屋でオンライン中継させていただくこととなり、東京で発信される情報を名古屋で同時刻に提供する機会を得ました。さらに、自治体の女性活躍推進担当者や企業の担当者、主婦など、様々な立場の方々を集めて話し合ってもらうこともできました。
東京との情報格差の壁、情報の最先端は東京に行かないと得ることができないと思っている世間(自分も含めて)にあらがいたい、立場や地位の関係ない場を作りたいと思っていた私は、この中継を通じて、地方の未来と自分の活動に明るい光を感じました。

Q. 具体的な転機やその後に訪れた変化は?
介護で自分を見つめ直す

39歳の時に姑の在宅介護が始まりました。
介護をしている時は、介護が最優先で、仕事は最低限にするのが当たり前だと思っていました。嫁たるものといった田舎独特の風習や育った環境からの刷り込みがあったのかもしれません。そこでストレス発散も含めて、介護期間にそれまでできなかった習い事をたくさんやりました。
また、26歳で起業し、自分の好きな仲間と好き勝手に仕事をしてきた私は、お客様の要望を叶えることが第一で、自分のやるべきことを改めて考えたことはありませんでした。ところが介護と仕事の両立という状況下では、限られた時間を何に使うかを考える必要に迫られました。

それまでワーカーホリック気味だった私には、良い転機になりました。
肩の力が抜け、習い事で地域のつながりも作ることができ、趣味を見つけ、自分を見つめ直すことができたのです。在宅介護終了後、自分が本当にやりたいことだけ、やるべきことだけやろうと決めました。

思い返すと、自分が失職者となったこと、中小企業に属すること、介護と仕事の両立をする人間となったこと、地方にいること、そういう弱者になりがちでも、それをむしろ活かしたい、弱いからこそ工夫し知恵が湧くという想いが私の原動力となっているということ。そして、私のもう一つの側面である、自分は主役ではなくサポートすることに喜びを感じること。この二つが自分自身のあり方だと改めて気づきました。
ともすると弱者、マイノリティになりがちな方々へ目を向け、自らその力を発揮することなくあきらめてしまいがちな人々の力を引き出したい、その方々が元々持っている可能性に光を当てることが私の役割だと感じるようになりました。女性活躍推進、ダイバーシティといった概念は、私のこの想いにぴったりと沿い、自分がやるべきことだと考えるに至りました。

Q. 今どんなコトを起こしていますか?
地方の女性の力強さを揺り動かす

女性活躍としては、女性側と企業側の両面への取り組みをしています。
女性側については、地方の女性の自信や可能性を引き出すこと。環境の良いところに住みながら仕事をする充足感に気づいてもらうこと。働く場所が無いならば作ればいいという発想をおこすこと。受け身ではなく、自律・自立的な発想の仕方を伝えるといった目的で、セミナーや自治体を巻き込んでの活動をしています。
その一環として、テレワーク、サテライトオフィスという働き方を女性達に伝えることと、そのメリットや方法を中小企業にコンサルティングも行っています。
また、企業に向けて、女性活躍推進、ダイバーシティといった観点をきっかけにした組織改革、働き方改革の提案、社員への研修を行っています。

障がい者就労については、始めたばかりですが、本人、家族、企業、それぞれウィンウィンになる活動をしています。

Q. これから起こしたいコトは?
つなぐ役割・その仕組みづくり

情報の壁、意識の壁、立場の違いの壁などを越える、つなぐことに関わっていきたいです。
例えば、地方と都会、個人と企業といった枠組みを超えて、地方で起こっている地域密着型のライフスタイル、それを実現する人がいれば発信する。逆に世界や都会で起こっていて地方まで届いていない情報や、素敵な人がいれば、地方へ橋渡しをする。
啓蒙だけでなくて、実践の伴った活動をしていきたいです。

障がい者就労サポートと女性活躍推進については、一人で進んで行けない人でも、仕組みに乗っかる勇気を出しさえすれば、今まであきらめていた可能性を発揮し、活かしあえるように、掛け算し合えるようにしたい。その仕組みづくりをしていきたいと思っています。
特に地方での取り組みは制度や自治体の力も必要です。
仕組みづくり、場づくり、意識啓発を、色んな方々の力を借り、巻き込みながら、引き続きやっていきたいと考えています。

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