企業研修の講師(ダイバーシティ研修講師)向け研修  受講者募集中

ダイバーシティ研修講師のみなさん、講義内容や伝え方について不安になったことはありませんか?この伝え方は誤解がないだろうか、など。

 

「ダイバーシティ推進者研修(研修講師向け)」は、組織のダイバーシティ推進を研修で、企業を外部から支援している方を応援する研修です。

これまで、女性活躍、障害者、LGBTQなどの個別テーマを含むダイバーシティ推進に関する、企業向けの研修を行ったことがある講師の方々が対象です。

ダイバーシティ推進は経営戦略の一環です。そのため、ダイバーシティ推進の研修講師は、企業経営に外部から影響を与える重要な存在と言えます。

しかし、講師の方々から、「自分の専門領域以外のことを聞かれると自信が無い」、「独自に研修内容を検討しているが客観的な視点が欲しい」など悩む声を良く耳にします。

そこで、「ダイバーシティ推進者研修(研修講師向け)」では全6回に渡り、様々な視点で考え、受講者同士で具体的なケースについて学びあい、今後のご自身の研修に活かしていただけるように構成しています。

 

◆講座内容

・第1回、第2回

ダイバーシティ推進総論(女性活躍、LGBTQ、障害者、人権、グローバル など)

※2回に渡ってダイバーシティ推進全体の知識と情報を提供する講義を行います

 

・第3回、第4回、第5回

各回ごとに、受講者や企業の担当者から質問を受ける場面を設定します。

その状況において研修講師としてどんな心持ちで臨むのか、大切にしたいポイントや役立つスキルを検討します。

※ダイバーシティ企業担当者の期待、研修参加者の期待、社会の期待を念頭に、研修の現場で良くある事例、研修担当者から良く投げかけられる質問など、どう向き合ったらいいか悩みがちな状況を想定しています。

 ・第5回終了後、受講者には実際の研修を企画し、サマリーを書いていただき、冒頭の部分を録画したものを提出していただきます。

 

・第6回

提出物を発表していただき、受講者同士フィードバックを行います。

 

★第5回と第6回の期間に、希望者には30分メンターセッションを行います。

 

◆開催方法

・方法: オンラインZoom

・日程及びスケジュール: 各回 2時間 19:30-21:30

2024年9/6、9/13、9/20、9/27、10/4、11/1

※10/4~11/1の間に課題提出及び一人1回30分の個別のメンターセッション

 

◆受講費

・15万円(GEWEL20周年特別価格)

 

◆初回限定5名まで

 

◆対象者(下記①と②の条件を満たす方)

①これまで既に、ダイバーシティ研修を企業向けに行ったことのある講師の方。

②研修を企画して、その様子を録画する課題を提出可能な方

※受講対象かどうか不安な方は、事前にお問い合わせください。

 

◆お申し込みはこちらまで

https://peatix.com/event/4073569

ブログ:マックルモアから学ぶ「特権」との向き合い方・・稲葉 哲治

アメリカ・シアトル出身のラッパー、マックルモア(Macklemore)が5月に発表した新曲『HIND’S HALL(ヒンズホール)』は、みなさん聞かれましたでしょうか?

ニューヨークのコロンビア大学でガザ反戦デモを行う学生たちに連帯し、自国のあり方を問う曲。ベトナム反戦運動の舞台にもなった同大学の象徴的建築ハミルトンホールが、ヒンド・ラジャブさんというパレスチナの少女への追悼から「ヒンズホール」と呼ばれだしたことに由来した曲名になっています。収益は全てUNRWA(国際連合パレスチナ難民救済事業機関)に寄付されるとのことです。

明るく楽しいノリノリの曲も数多く発表しているマックルモアですが、折々で社会の不条理さとそれに直面する人のあり方を抉るように問う作品を発表しています。

有名なものは、同性愛をテーマとした『Same Love』でしょう。繊細なピアノの旋律にのせた内向的な歌い方で「小学校3年の時、自分はゲイだって思っていた」という独白から始まるこの曲は、逡巡する思考を吐露しながらも、お互いを尊重し理解できないものへの怖れを乗り越えながら、社会を自分たちで変えていくこと(We have to change us)を呼びかける、とても美しい作品です。ミュージックビデオも感動的なため、5分半程ですが涙もろいかたは泣いちゃうかもしれません。

そんな『Same Love』もぜひ聞いていただきたいのですが、僕が本稿で紹介したい曲は2016年に発表された『White Privilege II』です。

題名の通り「白人特権」(=黒人・有色人種差別)についての曲ですが、この作品を意義深くかつ複雑なものにしている理由として、歌い手のマックルモア自身はマジョリティ側・特権を享受する側である白人(かつ男性)であり、その立場からマイノリティの活動(Black Lives Matter 運動)に加わっている、という背景があります。

曲の中でマックルモアは、マイノリティの活動においては非当事者であり、むしろ抑圧者・簒奪者側に属しているマジョリティの自分自身が活動の輪の中にいていいのか、一緒に抗議の声を上げることが許されるのか、と厳しい自己批判とともに悩みます。

この自己批判や悩みを、みなさんも感じたことはあるでしょうか?

自分自身の特権と、向き合ったことはあるでしょうか?

非当事者として、マイノリティや社会的弱者の方たちと活動するとき、支援を行うとき、自分自身の特権(それはマイノリティや社会的弱者を苦しめている原因だったりします)と向きあわなければ、偽善どころの話しではなく、支援をすることで自分だけが気持ちよくなる、感動ポルノを味わうだけになる、という結末にしかならない、と僕は思います。それは結果として、マイノリティや社会的弱者の方を消費することになり、社会の溝をさらに深めることにもなりかねません。

『White Privilege II』は、Black Lives Matter のデモの中で拾われたものを中心にたくさんの人々のたくさんの声に満ちています。それらは混乱を極めていて収拾がつきません。白人男性であるマックルモアも、自分自身の特権を自覚したからといって、何をすればよいのかわかりません。歴史や理屈を語ってかっこつけてみても、所詮はひたすら、どうすりゃいいんだーーと言っているだけです。

私たちも、きっと同じことになるでしょう。今なっている人も多いでしょう。

でも最後に、Your silence is a luxury, hip-hop is not a luxury、と歌われます。黙っていられることは特権であり、黙っていることはマイノリティや社会的弱者の方を苦しめている社会構造を維持することに加担することになります。沈黙は、贅沢。誰かの犠牲の上にある贅沢です。私の、あなたのあり方・生き方・仕事(マックルモアにとってはその総体がヒップホップ)は、いつまでそんな贅沢を享受し続けるのでしょうか?

黙っていれば、課題の一部。しかし混乱し答えもなく迷いばかりであっても、声を上げて少しでも行動することで、解決の一部になれるかも。D&Iが当たり前となる未来のために、自分自身の特権を問い、沈黙を乗り越えていくことを、みなさんとともに続けていきたいと思っています。

マックルモアのそれぞれの曲は、各音楽配信サービスやYouTubeで聞くことができます。ぜひ聞いて、感想などお聞かせください。

稲葉 哲治