11月7日(木)に『海外在住・滞在者から見る日本のD&I ~オランダ、デンマーク、フィンランドの事例から学び日本へ活かす~』を開催しました。
ジェンダーギャップ指数やLGBTにとって暮らしやすい国ランキングなど、各種指標を見ると北欧・西欧は日本よりもダイバーシティ&インクルージョンが進んでいるように感じますが、本当にそうなのでしょうか?オランダ、デンマーク、フィンランドに滞在・居住して魅せられた登壇者の皆さんが肌で感じた体験談をもとにディスカッションしました。
デンマークは藤田さなえさん(一般社団法人グローバルカタリスト代表理事)、オランダは佐藤彩有里さん(NPO法人GEWEL正会員/バルーン・コンサルティング代表)、フィンランドは井土亜梨沙さん(Forbes Japan コミュニティプロデューサー)、そしてモデレーターは蓮見勇太(NPO法人GEWEL 理事/ Ikigai Authentic Ltd 代表取締役)が務めました。
前半では、女性活躍、出産・育児、教育、LGBT・・・様々なダイバーシティ&インクルージョンの各国での取り組みについて光と闇の両面から紹介してもらう興味深い時間となりました。
・男女平等ランキング(2018年)で世界第4位のフィンランドでは、議員の約半数が女性であるなど多くの女性が活躍しているが、女性から男性へのセクハラ件数がその逆よりも多く報告されている。
・子供の幸福度が世界一のオランダは出産後のヘルパー派遣など国の社会保障が手厚い一方、学校への送り迎え義務など親にとって仕事と育児の両立ハードルが高く、特に女性のフルタイム勤務が進みづらい側面がある。
・生涯教育などの充実した教育制度が世界から注目されているデンマークでは、「森の幼稚園」などの個性をのばす教育が、移民や低所得層の子どもが受けられないほど高額になっているという事実がある。
後半では、各国のダイバーシティ&インクルージョンの事例を日本にどのように活かすことができるかについてそれぞれの登壇者からコメントをもらい、締めくくりとしました。
・藤田さん:以前、障がいのある子供をデンマークから日本に招待したことがあり、その方に同伴していた親御さんから「一人ひとりが相手の気持ちを汲み取って行動する日本は障がい者にとって天国である」と言われた。また、「性別や人種、バックグラウンドなどに関わらず、人間の命の価値はみな一緒である」というデンマークでよく感じることを前提とすると「自分の違いも相手の違いも尊重される」という生きやすい社会になるのではないか。
・佐藤さん:海外から帰ってくると、日本人が挨拶や「ありがとう」をあまり言わないことが気になる。もう少しお互いに声をかけあうことで相手のニーズが分かったり「助けて」と言いやすい雰囲気になるのではないか。
・井土さん:D&Iを推進すると儲かるという企業の側面もあり、自分や相手双方の利益の追求につながり合理的である。
当日は欧州のD&Iに関心のある方や実際に欧州に滞在した経験のある方など多くの方々にご参加いただき、登壇者への質問や交流会での意見交換も活発に行われました。
「1年のうちの3~4か月を向こうで過ごします」「だいたい2~3か月に一度、行ったり来たりしています」という登壇者からの声を聞き、世界も遠いようで近くなったことを感じさせてくれるような会となりました。
NPO法人GEWEL
蓮見勇太
佐藤彩有里