GEWELとわたし(舘野聡子)

NPO法人GEWELは2003年の設立以降、ダイバーシティ&インクルージョンを中心に、多くのひとに影響を与えてきました。GEWELと関わったことをきっかけに、新しい何かを起こしてきた「コトおこし」の例を紹介していきます。

File20:舘野聡子(タテノサトコ)

株式会社イソシア 代表取締役
特定社会保険労務士 シニア産業カウンセラー

Q: あなたを掛け算で表現すると?
「労働法」 x 「心理学」 x 「マイノリティ」

大学で、女性の労働環境に興味をもち労働法を勉強しました。その後社労士となり、労働法は私にとっては一生のパートナーとなりました。
社労士になった後、ハラスメントの防止対策をしている企業で働いたことをきかっけに働く人の心理を学びはじめ、現在大学院で心理学を専攻しています。

今、社労士・カウンセラーとして一番力を注いでいるのは、たまたまその人が持っている属性が元で(性別、障害の有無、病気の治療中である等)組織の中で周縁化されてしまい、能力が発揮できない、またはハラスメントを受ける状態を変えることです。

特に担当者が迷う場面(例えば何らかの問題で困っている当事者に会社として何をどこまで対応したらいいか)での相談対応や、会社としての姿勢を明確にするための制度作りにやりがいを感じています。

 

Q: GEWEL との出会い
前代表理事の村松邦子さんの後押しで

以前働いていた職場で、前代表理事の村松さんとご縁ができ、独立したタイミングで声をかけていただきました。

GEWELのことは知ってはいても、「すごいキャリアの方ばかりで、私が役にたてることはないかもしれないな…。」なんて勝手に思い込んで尻込みしていました。
実際は(私が見落としていただけで)多種多様な人の集まりですし、いろんな場面で「私だけじゃない!」と勇気をもらえる場所でした。

声をかけてくださった村松さんには感謝、感謝です。

 

Q. 具体的な転機やその後に訪れた変化は?
社会人になるタイミングでの挫折と復活

私の人生を大きく方向づけたものは、大学卒業時の就職活動です。

バブル崩壊後の就職氷河期のスタート時期であったためか、就職活動は非常に難航。
いいところまで行っては落とされるということを繰り返していました。

希望していた総合職の女性の採用は一気に減り、地方出身者には一般職の選択肢もなく、目の前で次々にシャッターが下ろされていくような状況に呆然としましたし、「どこか就職できるだろう」なんて甘い考えでいた自分をとても責めました。

なんとか採用してくれた会社に勤めることになりましたが、最初の配属の神戸で阪神大震災に遭遇するという経験をしました。
私のマンションは新しかったので壊れたりはしませんでしたが、周囲の家は全部崩壊し、少し離れたブロックは一面の火の海。
たまたま住んだその家のおかげで生き延びたと思っています。

また、会社は建物が半分倒壊してしまい復旧はすぐには無理とのことで、東京に異動になりましたが、神戸での仕事が楽しかった分異動先での仕事にモチベーションを感じられなくなってしまいました。
今考えるといろんな出来事にメンタル的にかなり弱っていたのだと思います。

その一連の流れから、どんな状況にあっても自分で食べていける能力を持ちたい(むしろ何か身につけねば就職はできない)と強く感じ、もともと自分が大好きだった労働法や職場の労務管理をアドバイスする仕事としての社労士になることを決意しました。

今となってはこういう出来事があったから今の自分があると思えるようになりましたが、うまくいかない中でもがいていた20代でした。

 

Q. 今どんなコトを起こしていますか?
「マイナスをゼロに」がモットー

私は職場でのコンフリクトの解決と予防をしていくことが自分の使命だと思っています。いわばマイナスに感じている状況を、ゼロに、ニュートラルな状態に変えていきたい。

私は特にハラスメントとメンタルヘルス問題の対応に関わることが多いのですが、相談で対応する個人に対していつもこんな風に思っています。
「その人が問題の当事者になってしまったことはたまたまであり、経済状況や出来事のタイミング、特に身近に助けてくれる人がいたかいなかったか、いても助けてと言えるか言えないかに左右されるということ、その上で様々な状況の中でその人がとれる最善を尽くして今ここにいる」そして全力で、その人が苦しい、つらいと感じる状況を少しでも楽になるようにサポートしていきたいと思っています。

マイナスな状況なんてその人の状況にレッテルを貼ってしまっているようですが、誰にだって逆境だと感じる状況はやってくるのではないでしょうか。
それを乗り越えることができる力は本来だれもが持っているものであり、その素晴らしい能力を発揮できるようにお手伝いをしたいのです。

今は主にハラスメントの被害者・加害者へのカウンセリング、メンタルヘルス不調者のカウンセリングや職場担当者へのコンサルテーションをやらせていただいていますが、今後は治療と仕事の両立の問題、正規と非正規の格差の問題などにも取り組みを広げる予定です。

 

Q. これから起こしたいコトは?
労働法領域と心理学領域の融合

大学院に入学してみて、入学前はこれで勉強は終わりかな?という気持ちでしたが、すぐに大きな間違いと気づきました。
むしろ終わりのない道の始まりに立ってしまったと感じています。

今は修論に向けての基礎的な勉強が中心ですが、これから先私が長く学んできた労働法領域と心理学領域を掛け合わせて、苦しい思いを抱えている人の役に立つ何かを生み出せればいいなあと思っています。(しかし道のりは長く遠い・・・)

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