ブログ:マックルモアから学ぶ「特権」との向き合い方・・稲葉 哲治

アメリカ・シアトル出身のラッパー、マックルモア(Macklemore)が5月に発表した新曲『HIND’S HALL(ヒンズホール)』は、みなさん聞かれましたでしょうか?

ニューヨークのコロンビア大学でガザ反戦デモを行う学生たちに連帯し、自国のあり方を問う曲。ベトナム反戦運動の舞台にもなった同大学の象徴的建築ハミルトンホールが、ヒンド・ラジャブさんというパレスチナの少女への追悼から「ヒンズホール」と呼ばれだしたことに由来した曲名になっています。収益は全てUNRWA(国際連合パレスチナ難民救済事業機関)に寄付されるとのことです。

明るく楽しいノリノリの曲も数多く発表しているマックルモアですが、折々で社会の不条理さとそれに直面する人のあり方を抉るように問う作品を発表しています。

有名なものは、同性愛をテーマとした『Same Love』でしょう。繊細なピアノの旋律にのせた内向的な歌い方で「小学校3年の時、自分はゲイだって思っていた」という独白から始まるこの曲は、逡巡する思考を吐露しながらも、お互いを尊重し理解できないものへの怖れを乗り越えながら、社会を自分たちで変えていくこと(We have to change us)を呼びかける、とても美しい作品です。ミュージックビデオも感動的なため、5分半程ですが涙もろいかたは泣いちゃうかもしれません。

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