イベントレポート:GEWELオープンフォーラム2024

テーマ:「組織と個人の未来を共に考えるために」

開催:2024年11月30日(土)19:30~21:00(オンライン開催)


1.開催概要と目的

GEWELオープンフォーラムは、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)を社会と組織の両面から考える年次イベントとして開催されており、今年で15回目。

2024年のテーマは「組織と個人の未来を共に考えるために」。

昨年の議題「D&Iのキャズムをどう超える?」を踏まえ、今年は“その超え方”を具体的に議論する形となった。

開会の挨拶では、小嶋代表理事が「D&I推進を一部の部署や担当者に任せるのではなく、すべての部門・職種に“主流化(Mainstreaming)”させることが次のステップ」と語り、

この日の目的を「ダイバーシティ専門家の活躍の場を、より多様な分野に広げるための対話」と位置づけた。

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レポ:ダイバーシティ推進者が海外に行ってきたこと感想会 ースペインとオーストラリアに行ってみてー

開催概要

開催趣旨:理事3名が世界のダイバーシティ現場を体験し、そこで得た気づきや学びを共有する。

登壇者:理事3名

 - 篠田 寛子(代表理事)(GSWに参加)

 - 小嶋 美代子(理事)(GSWに参加)

 - 五十嵐 ゆり(理事)(マルディグラに参加)


オープニング

設立者・堀井きみ子氏の逝去を受けて、その功績に触れながら開会。

堀井氏は「女性の自信のなさ」をジェンダー課題の本質として調査・発信してきた人物であり、彼女の志が今もGEWEL活動の原点にあることが語られた。

本会はその志を引き継ぎ、**「世界の現場から見えたD&I」**を共有する趣旨で実施された。

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イベントレポート:GEWELオープンフォーラム 2023

■開催概要

  • 開催日時:2023年12月17日(日)19:00~21:00(オンライン開催)

  • テーマ:”D&Iのキャズムってどう越える?”

「D&Iのキャズムとは何か?」

キャズム理論の紹介
D&I推進の5ステップ(理想形)
キャズムの原因(落とし穴)
乗り越えるために

  • 登壇者

小嶋 美代子(代表理事)
稲葉 哲治(理事)
山田 弘(副代表理事)
篠田 寛子(理事)
五十嵐 ゆり(理事)

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イベントレポート:GEWELオープンフォーラム2022

GEWELオープンフォーラム2022:「ムービーフェス “多様性の追体験”」参加レポート

GEWELオープンフォーラムの運営は、会員だけでなく、学生や社会人のボランティアによって支えられています。今回のGEWELオープンフォーラム2022:「多様性の追体験」は、Marsh McLennan Japan DEI Teamさまのご協力、外務省WAW!ウィークス公式サイトのイベント登録、内閣府男女共同参画局の後援もいただきました。

以下は、当日の対面会場の運営をサポートしてくれた大東文化大学経営学部 ダレン・マクドナルド ゼミの宮﨑 翼さん、野口 朋輝さん、伊藤 真翔さん、オンラインで参加してくれた浅川 大地さん(桜美林大学)、大学生4名の参加レポートとなります。 続きを読む

レポ:「気ままにダイバーシティトーク Vol.3」大学からでは遅すぎる、一貫した生きる力を身につける新しい学び方が必要だ

イベント名:気ままにダイバーシティトーク(2022年7月27日)

テーマ:大学からでは遅すぎる、一貫した生きる力を身につける新しい学び方が必要だ

ゲスト:大谷真樹氏(インフィニティ国際学院 創設者・学院長)


■ 意図

「気ままにダイバーシティトーク」は「ダイバーシティをもっと身近に、カジュアルに語る場」として企画されています。

今回は、初等・中等教育の現場から見た課題と可能性に焦点を当てて、教育の新しいかたちを考える機会として開催。


■ ゲスト紹介

大谷 真樹さんはNEC勤務後、インターネット黎明期に独立しベンチャー企業を経営。後に事業をヤフーへ売却し、以降「人を残す教育」へと転身した。

大学の学長として教育現場に携わる中で、「自分の頭で考えない学生」「答えを求める教育」に強い危機感を抱き、2019年にインフィニティ国際学院を設立。

「世界を舞台に、自ら考え行動するリーダーを育てる」ことを理念に掲げている。


■ ゲスト・トーク

1.教育改革への想いと松下村塾での気づき

2018年、山口県の松下村塾を訪ねた際に、「問いを与える教育」の原点に触れたことが転機となった。

吉田 松陰が実践した対話型教育に感銘を受け、「自ら考え、行動できるリーダーを育てることこそ自分の使命」と確信。

この経験が、同学院設立の原動力になったという。

2.日本の教育が抱える構造的課題

  • 150年間変わらない「一斉教育」「暗記中心」「標準化」。

  • 教室に閉じ込める仕組みは、もともと軍隊・植民地型教育の名残。

    →「はみ出す個性」が排除される構造が続いている。

  • 世界を変えてきたのは異端児・イノベーター。

    日本教育の限界はここにあると指摘。

3.インフィニティ国際学院の取り組み

  • 全寮制・フィールドワーク型教育

    北海道・沖縄・海外など、多様な環境で「自分の足で考える学び」を実践。

  • 3年間の流れ

    1年目:英語・探究の基礎

    2年目:海外・国内でのフィールドワーク(コロナ禍では国内へ転換)

    3年目:個別探究・インターンシップ(ホテル、農業、留学など)

  • 特徴

    • 山登り・トレッキングを通じた「内省と成功体験」。

    • 「自己肯定感」と「突破力(メタスキル)」を重視。

    • 偏差値でなく「自らの探究」から進路を選ぶ。

      →結果として慶應・上智・APU・海外大学など進学実績も高い。
      ここに行けとか、行くための指導をしたわけではなく各自が自分で選択。


■教育と親・教師への視点

● 入学で最も重視するのは「親の価値観」

  • 子どもの適性よりも、親の教育観と学校理念の一致が重要。

  • 管理型教育に慣れた親とはミスマッチが起きやすく、事前面談を重視している。

● 「変わるべきは子どもではなく大人」

  • 子どもは素直に変化するが、親や教員は固定観念が強く変わりにくい。

  • 「教頭や校長など意思決定層の変化こそが日本の教育を変える鍵」と指摘。

  • 現在、教頭向けサマースクール・オータムスクール構想も進行中。

● 公教育との関係性

  • 公教育そのものを否定するのではなく、「多様な選択肢を増やすこと」が重要。

  • 公立・私立・フリースクール・ホームスクーリングが共存できる社会を目指す。


■参加者との対話・印象的なやり取り

  • 高校生へのアート教育を実践する参加者からは、

    「答えのない問いに向き合う力」「違いを認める教育」の重要性に共感が寄せられた。

  • 大谷氏は、「一人ひとりの学び方に合わせた個別最適化教育」を強調。

    文字・映像・対話など、学び方の多様性を尊重する姿勢が印象的だった。

  • 教育現場の格差や教員の意識変革についても、活発な意見交換が行われた。


■学びと気づき

  1. 教育の本質は「自ら考え、行動する力」を育てること。

    教師や親が“答えを与える”のではなく、“問いを投げかける”存在になる重要性を実感した。

  2. 変革の主役は大人である。

    子どもが変わる前に、親や教員が変わらなければ教育は変わらない。

  3. 選択肢の多様化が社会の希望になる。

    公教育に頼らずとも学べる環境を整えることが、次世代を支える道である。


■印象に残った言葉

日本の教育を変えるのは“異端児”である。

子どもは変われる。変わるべきは大人。

公教育を否定せず、選択肢を増やしていこう。


■まとめ

今回のトークを通じ、教育とは「知識を与える行為」ではなく、「人生を共に探求するプロセス」であると再認識した。

大谷 真樹さんの実践は、まさに“ダイバーシティ教育”そのものであり、子どもたちの多様な才能を活かす環境づくりの好例であった。

交流会レポ:1300人のアンケート結果から見えてきた『発達障害の生きにくさや、育てにくさの理由はこれだった!』

概要

今年のオープンフォーラムのテーマは「D&Iのブレイクスルー」。

そこから派生するテーマとして「発達障害」に焦点を当て、より個人や家庭の視点に踏み込んだ対話を目的としている。

テーマは、1300人のアンケート結果から見えてきた『発達障害の生きにくさや、育てにくさの理由はこれだった!』

ゲストに畠中 直美さん(一般社団法人チャレンジドライフ代表)をお迎えして、発達障害のある人・家族・支援者・企業担当者など、多様な立場の参加者がオンラインで集い、アンケート結果をもとに「社会の理解」と「生きやすさ」について意見を交わした。

2021年12月18日 オンライン開催

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レポ:「気ままにダイバーシティトーク Vol.2」教育方法選択の多様性 〜平均から外れるという選択〜

イベント名: 気ままにダイバーシティトーク(2021年11月6日)

テーマ: 教育方法選択の多様性 〜平均から外れるという選択〜

ゲスト: 大谷育美(教育起業家/カーサ・デ・バンビーニ代表)


■ 意図

「気ままにダイバーシティトーク」は「ダイバーシティをもっと身近に、カジュアルに語る場」として企画されています。

今回は未就学の教育分野に焦点を当てて開催。


■ ゲスト紹介

教育起業家の大谷 育美さんは、

  • 保育士・高校英語教員・モンテッソーリ教員免許を持つ。

  • 北九州で、3-6歳のモンテッソーリ「カーサ・デ・バンビーニ」、0-3歳のモンテッソーリ「RIVERWALKこどもの家」を経営。

  • どちらも企業主導型保育事業として満員・ウェイティングリスト多数の人気園。

  • 「モンテッソーリ教育×バイリンガル教育」を実践し、子どもの自主性を尊重する保育を行っている。

  • 現在は娘と夫がオランダに移住し、国際的な教育にも関わっている。


■ ゲスト・トーク

1.教師としての原点とモンテッソーリとの出会い

大谷 育美さんは高校の英語教師時代、

「生徒が自分の進路を決められない」「欠席の連絡も親まかせ」な状況に疑問を抱き、

“自分で考える力”を育む教育を模索する中でモンテッソーリ教育に出会った。

実践するうちに「変わったのは生徒ではなく、自分自身だった」と語り、

“人を変えようとするのではなく、自分を変える”という教育観に至った。


2.モンテッソーリ教育の核心

  • 子どもは「何も知らない存在」ではなく、**自分を教育する力(自己教育力)**を生まれながらに持つ。

  • 出産・歩行・言語などの成長も、すべて子ども自身の意思と試行錯誤による。

  • 大人は「教える」のではなく、「環境を整えて待つ」ことが役割。

「子どもが失敗するのを防ぐのではなく、
失敗から学ぶ機会を奪わないことが大切。」


3.「待つ」教育と「本物」を扱う環境

  • 大人が「危ない!」「こぼしたでしょ!」と言わず、静かに見守ること。

  • 教具は本物のガラスや陶器を使用。割れる体験を通して扱い方を学ぶ。

  • 子どもは壊すことを恐れず、次第に丁寧に扱うようになる。

  • 「花瓶を壊すのは大人の方が多い」というエピソードが印象的。


4.褒めない教育

  • 「上手だね」「すごいね」といった評価は大人の価値観の押しつけになる。

  • 褒める代わりに事実を伝える:「注げたね」「できたね」。

  • これにより、子どもは他人の評価ではなく自分の満足で行動するようになる。

「“上手”を決めるのは大人じゃない。自分で決めることが大切。」


5.家庭でのモンテッソーリ実践

  • 家に「教具」を揃える必要はない。

  • 園で“ワーク”をしている子どもにとって、家庭はリラックスの場

  • 家では「親の生活に参加する」ことが教育になる。

     例)料理・洗濯・掃除などを一緒に行う。

  • 「お母さんがしていることを一緒にする」ことが最高の学び。


6.子ども同士の関係と“待つ文化”

  • 保育園では道具が一種類しかなく、「待つ」ことを自然に学ぶ。

  • 「待たれる経験」が「他人を待てる力」につながる。

  • 取り合いや喧嘩が起きず、尊重の循環が生まれている。


7.オランダへの移住決断

  • コロナ禍での日本の教育行政対応に限界を感じ、 「平均から外れる」決断としてオランダへ。

  • 現地ではモンテッソーリ教育が自然に根付き、 多様な教育選択が当たり前に存在する。


■学び・気づき

  • 「待つ」ことの大切さ、大人が“教えることを手放す”勇気の必要性を実感。

  • 子どもを“何も知らない存在”として扱うのではなく、尊重すべき主体として見る視点の転換が印象的だった。

  • 「褒めない」「事実を伝える」というアプローチは、大人の人材育成や職場コミュニケーションにも応用可能だと感じた。

  • “平均から外れる”ことを恐れず、自分の軸で選択する勇気をもらえた。

  • 教育の本質は「教えること」ではなく「信じること」にあるという気づきを得た。


■まとめ

今回のトークは、教育の枠を超え「人がどう生きるか」に通じる内容だった。

「自己教育力」「尊重」「待つ文化」といったキーワードは、

子どもだけでなく大人にも通じる“ダイバーシティの根本”を示していた。

多様性とは、他者を尊重する前に自分の可能性を信じることから始まる。

【参加いただいた皆様のお声】GEWELオープンフォーラム2021:ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)のブレークスルー 〜私の組織でもやってみよう〜

2021年9月11日、GEWELにとって10回目となるオープンフォーラムが開催されました。100名を超える多くの参加者の皆様にお越しいただき、zoomを用いたオンラインでのセッションをお届け。6名の特別ゲストからD&Iへの取り組みについてお話しいただきました。

参加いただいた皆様のお声

オープンフォーラムへ参加された皆様に
・参加して感じたこと
・気づいたこと
・考えたこと
など、様々なご感想をいただきました。 続きを読む

【開催レポート① 】GEWELオープンフォーラム2021:ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)のブレークスルー 〜私の組織でもやってみよう〜

2021年9月11日、GEWEL にとって10回目となるオープンフォーラムが開催しました。100名を超える多くの参加者の皆様にお越しいただき、zoom を用いたオンラインでのセッションをお届けしました。
6名の特別ゲストからD&Iへの取り組みについてうかがうことができました。

さらに本イベントではUDトークを活用。UDトークとは、

・「音声認識+音声合成」機能を使って視聴覚障害間コミュニケーション
・「多言語音声認識&翻訳」機能を使って多言語コミュニケーション
・「漢字かな変換や手書き」機能を使って世代間コミュニケーション

といったコミュニケーションの「UD=ユニバーサルデザイン」を支援するためのアプリです。(参照元:https://udtalk.jp)こちらのサービスを用いて、スピーカーの声を文字でもお伝えしました。

またゲストの皆さまには、当日の髪型や服装など見た目についても言及いただくことに。視覚・聴覚特性のある方でも楽しめるようなイベントづくりを心がけました。

セッションではゲストの皆様にスライドをご用意いただき、資料画像と説明の音声とで分かりやすい発表の場になりました。多様性への取り組みがどのように行われているのか、多くの学びを得られるイベントとなりました。 続きを読む

オープンフォーラム参加レポート②:あらためてダイバーシティを考えた2時間半(教育編)

2020年12月6日、今年を締めくくるオープンフォーラムはオンラインでの開催となりました。全国から多くの方にご参加いただき、定員を大幅に超え大盛況となりました。

ダイバーシティと言われて久しい現代社会。
・ダイバーシティの正確な意味を理解しているのか
・なんのためにダイバーシティを推進しているのか
そんな「what」よりも「why」の部分について、「第一部・経営編」「第二部・教育編」という二部構成を、素敵なゲスト陣と考察していきました。
(モデレーター:稲葉 哲治(GEWEL理事))

〇第二部 教育編
ゲスト:
東 ちづる(俳優・一般社団法人Get in touch 代表)

サンドラ・ヘフェリン(コラムニスト)

続いての第二部は俳優・一般社団法人Get in touch 代表の東ちづるさん、コラムニストのサンドラ・ヘフェリンさんをお招きし、教育をテーマにトークを展開していきました。
今を生きる私たちは、次世代の子供たちに何を伝えていくべきなのでしょうか。
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