昭和女子大学女性文化研究所 第15回女性学公開講座開催

世界の女性は今
―グローバル サミット オブ ウィメン インソウルから−

2004年7月22日(木) 18:30−20:30 オーロラホール 80年館6階
韓国元国会議員Yunsook Lee氏の基調演説

私は、去る5月までは韓国の国会議員でした。韓国の国会は日本と違って、単院制で国会議員の数も私が務めた16期は273名でしたが今期は299名になりました。韓国では女性の政治参加がずっと遅れていましたが、いろいろな活動を重ねた結果、16期では273名のうち女性議員は、16名で5.9%でしたが、17期には299名のうちの39名と13%にまで増えました。

女性政治参加水準は、韓国も日本も同様、世界的には200か国中100位以下でしたが、今度13%に上昇した結果63位となりました。その同じ統計で日本は96位です。頑張ってください。私たちは女性議員の数を2倍以上に増やすため、比例区の女性議員数を全体の50%にするよう働きかけました。男性からの反対運動が起こり、憲法違反とも言われました。それに対抗して私たちは対策を練り、19488年の国連の人権宣言を根拠に1979年国連総会ではCEDAWという組織を動かしました。これは、女性に対したあらゆる差別を撤廃する条約なのです。その条約には、「今日の女性の差別、男女の差を埋めるための政策は憲法を違反するものではない」とちゃんと書いてありますので、私たちはそれを理由とし法案作りを進めました。
「比例区の半分は女性に」という1行で比例区の女性議員が29名になりました。

このような経験で私たちが知ったのは、法律を変えることで一時的ではなく長期間継続することができる女性の政治参画の基本ができたということです。なぜここまでできたかをご説明したいと思います。私は、当時ハンナラ党に所属していましたが、ハンナラ党の党内だけでは女性はそう多くありませんでした。その女性たちが力を合わせても、党内での女性の影響力が弱い。それで私たちは連帯を目指しました。連帯のためには女性たちが団結することが必要でした。2002年の大統領選挙の前にハンナラ党の全党大会の時に代議員を出す事になりました。これまでは女性がマイノリティでしたが私たちが調査した結果、党員名簿の半数以上が女性であることを知りました。それで党員の比率と同じだけの女性代議員を出さなければならないと主張したのです。結局、有権者数の比例に基づき代議員の半分を女性にするということを党の規約に入れました。その結果、党の代表とか、最高委員を選出するときに代議員の半分、8,000人中4,000人ぐらいが女性になりました。党の首脳部が女性の意見を真剣に聞き始めました。首脳部が女性に呼びかけてきました。女性に対しての公約や対策が練られ、それがきっかけとなり女性問題を真剣に取り組むこととなりました。

私は、韓国女性の政治参加運動は 5C(five C)が重要だったと思います。
5Cの 第一は、連帯することのCoalitionのCです。この連帯は、95年の地方選挙の時に私たちが力を合わせ、女性団体60団体が連帯を始めたのがきっかけでした。団体は違った目的を持って活動していても、女性の政治参加のため、女性団体は同じ目標を持つことに目をつけて団結したのです。
それが始まりで、連帯団体数はやがて97団体に増え、それを盾に私たちが活動をし、法律的に変化させたと思います。その初めのCがCoalitionです。連帯をした。自分の力が十分でなかったら、ほかの人たちの力を入れて大きくし、主流化する。エンパワーメント(empowerment)とも言えます。連帯し、女性の声をまとめ、その女性の声が聞こえるようにしたのです。

その連帯をするのに一番必要だったのがCooperationのC、協力でした。協力というのは、同じことを差し出すのだけが平等ではなくて、自分の能力の限りですることができて、いいことだけではなく、まずいことまでも協力をする必要があったともいえます。女性団体の協力を通じて連帯ができたと。 

3番目のCは、やはり野党と与党、または女性団体、韓国では競争がある程度必要があると思いますが、CompetitionのC、競争です。私たちは与党も野党も女性問題では同じ立場なので、私たちの党内で変化を起こすときにはその情報を与党に、私は、野党でしたが、その情報を与党に流すんです。そうすると、与党でまた首脳部にいって、「野党ではこんなことをしている。私たちが先だって何かしましょう」とか言って、もっと進んだことをしました。そして、またその情報を流し、「あの党ではこうしていますから、私たちはここまでいかなければならないんです」と言って両党での競争を促しました。それも効果があったと思います。

 このようにして作り上げられるのがChangeのCです。変化を持つということで、何をチェンジするかというと、法律をチェンジします。法律を変えることに女性が力を合わせる。それは、立派に仕上げることができました。それでチェンジ・ザ・ロー(change the law)が4番目のCです。 

チェンジを招く根拠は5番目のCEDAW(the Convention on the Elimination of All Forms of Discrimination against Women)のCです。あらゆる形の差別を撤廃する。それがどんな差別かというと、アゲンスト・ウィメン、女性に対するあらゆる差別を撤廃するための協約です。この協約を国連に提出し、国連総会で通りました。それを各国がサインをして、議会が信任をして、進めていきます。日本はこの協約を信任しているので政府にも実行を要求すべきだと思います。
ここにも議員の方が一緒にいらっしゃるのでとても心強いのですが、議員たちが法律を変える。そこに女性リーダーたちが協力して連帯する。政党の中の女性たちに女性リーダーたちが圧力を加え、政党内の女性の地位向上に取り組むことはとても楽しい仕事であることを私は伝えたいのです。政治は汚いことだし、しょっちゅうけんかばかりしている。それでもその政治が私たちの生活の質を決めるのです。私も初めは政治が嫌だったのですが、女性運動に加わるようになって私なりに考えて結果、政治は芸術だと思うようになりました。政治家は自分が信じていることを有権者たちに信じるように伝え、彼らの心を動かす芸術家だと思うようになりました。ですから、今、男性中心の汚れた政界を元に戻して、国民の生活の質を引き上げるために政治を動かすのは女性の役割ではないか、女性が、自分たちの手を汚さずに生きたいという考え方に執着して政治を避けるのは、指導者になる資格のない女性の考え方だと私は言いたいのです。

私は若い人たちに言い続けています。就職ができないと嘆かずに、政治をしなさいと。特に地方の選挙は自分の住む身近な地域を良く知り、その問題点をちゃんとつかめば、一人一人を説得して票を集めることができます。その票を勝ち取り当選すれば議員になれるのです。そう遠いことではないのです。地方選挙で勝ったら広域(国政)に挑戦して、広域(国政)で議席を得たら、それからは政府の予算で仕事をしながら自分の選挙運動ができるわけです。そうしてそこで力をつけたら、政党があなたの能力を活用する事になるのです。ですから、就職よりも簡単かもしれないし、また役に立つことができます。若い方々が重要な政治に対して関心を持って歩みだすことを願いながら、私の講義はここで終わらせていただきます。ありがとうございました。
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