ふたりゴト(November)

Sho Kawasaki Yuta Hasumi

Y「今年も残すところあと50日切りましたね」

S「本当ですね、早い早い」

Y「新語・流行語大賞のノミネート語が発表されると一気に年末になったような気がします。昌さんの流行はなんですか?」

S「私は最近、メディエーションを学んでいます」

Y「メディテーション?瞑想しているんですか?」

S「いえいえ、メディエーションです。二者間に対立があった場合、第三者的な立場で会話的に調整しながら解決に導く手法のことなんです」

Y「なるほど、折衷案を探すイメージですか?」

S「とは少し違うんです。双方が納得いくまで対話を促すことによって止揚(しよう)を導くアプローチなんです。インクルージョンもそのようなアプローチができないかな、って考えているんです」

Y「哲学の秋ですね。もっぱら食欲の秋だった私も考えちゃうな」

S「お腹が空いてたら頭も働かないですから(笑)インクルージョンって以前までは受け入れる、個々の許容範囲が広がるイメージだったんですが、もう少し丁寧に対話しながら導き出した方が個を尊重しながらの本質的なダイバーシティ&インクルージョンにつながるような気がしています」

Y「たしかに企業でD&I推進していると、どうしても施策によって腹落ちはしていないんだけどやらなきゃいけないからやる、という人も増えています。」

S「今、組織でLGBTに対するインクルージョン施策が進んでいますよね。たとえば男性として生まれたけれど女性になったトランスジェンダーの従業員がどのトイレを使うのか、という話になったとして。正論として『自分が自認する性に合ったトイレを使用できるようにする』規則によってすぐにその従業員が女性トイレを使用するようになったとしますよね」

Y「まだ理解が足りていない他の従業員は驚いたり、なかには快く思わなかったりする人もいたりする、ということですか?」

S「そうなんです。職場の状態やまたトランスジェンダー一人ひとりもそれぞれなので、もしかしたらそれが最良の方法ではないかもしれない、ということです」

Y「すでにある先行事例をそのまま取り入れる企業も少なくないですしね」

S「こうしたほうがいい、とか正解はないのかもしれない。ここで組織であればいろいろな従業員と丁寧に対話をしていったとしたら、誰でも使えるように多目的トイレの数を増やそう、とか1つは女性専用、1つは男女兼用として使用方法を工夫しようとか、皆の中で納得したタイミングや改善案が導き出せてるな、と思うんです」

Y「たしかにその方法でしたらビックリすることやポリコレのプレッシャーを感じることなく、より多くの人が納得したうえで前に進められていますね。未来のD&Iの姿かも」

S「正解があるということは、思考を停止させることだと思います。なんでも白黒つけない世界のほうが、曖昧で複雑で多様な個人や社会にとってはむしろ自然なのかな、と。そういう意味では原点回帰のようでもあり、未来の姿のようでもあり…今年のオープンフォーラムでもこの次世代のD&Iのありようや未来の社会のかたちを皆でディスカッションしたいなと思っています」

Y「もうすぐですね、楽しみ!」

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